17d 「敵か味方か!? 占い師・落間流現る!!」
ある日の朝、神無月学園の女子生徒・中村茜が投身自殺したというニュースが流れる。それは小太郎の知った名だった。
野球部のマネージャーであった彼女と、生徒会長である小太郎は、一時期部活の予算の件でやり合ったことがあるのだ。それ以来交流はなかったが、少しの寂しさを覚える小太郎。
そんな折、霊能者だと名乗る男子学生・落間流が接触してくる。彼は小太郎が退魔師であるという噂を聞き、その手助けが欲しくて来たのだという。
落間の話によると、他人に取り憑き、自殺に誘導する悪霊が居るらしい。中村の自殺も、その悪霊の所為だという。落間と協力し、除霊に向かう小太郎。
落間の力もあり、危なげなく除霊は成功。これほどの実力がありながら、何故助力を求めたのか? 小太郎は腑に落ちない思いでいた。
18d 「七つの七不思議!? 悪霊の棲む学園!!」
この学園の閉鎖された旧校舎には、七つの七不思議がある。生徒の間では有名な、怪談兼笑い話だった。
近頃その旧校舎に、妙な霊の気配がある、と小太郎に告げる落間。それは誠人も薄々感じていたことだった。落間を信用しきれないながらも、ひとまず調査を始める小太郎。
調査を共に進める中、同じような能力を持ち、実力も上回る落間に対し、智弘は嫉妬に近い対抗心を抱いていた。
そんなある日、神無月学園に、一人の転校生がやってくる。八幡縁と名乗る彼は、何故か旧校舎の七不思議と、小太郎が退魔師であることを知っていた。
旧校舎には「旧校舎の悪霊」が住み着いているのだ、と言い残して去る八幡。神無月学園に、不穏な気配が近づいていた。
19d 「悪霊出現!! 旧校舎に潜む罠!!」
昼休み、小太郎達と一緒に昼食を摂っていたおとめが、突然倒れて死んだように眠り込んだ。外傷も病気の心当たりもなく、これは霊的な障害と判断する小太郎。
そこへ、自分こそ「旧校舎の悪霊」であると名乗る八幡が現れ、小太郎へと宣戦布告する。
一方智弘は、おとめが倒れた後、落間がこっそりと誰かに連絡を取るところを見てしまった。彼もまた、「旧校舎の悪霊」の仲間であったのだ。
落間に勝負を挑むが、返り討ちに遭う智弘。旧校舎で待っていると言い残し、落間は姿を消す。
おとめの看病はアセンションに任せ、小太郎、誠人、智弘の三人は、旧校舎へと赴いた。こっそり三人のあとを追う、千草と古橋も飲み込んで、旧校舎の扉は閉じる――
20d 「小太郎死す!? 旧校舎に響く絶望!!」
旧校舎には入ったものの、悪霊の姿も落間の姿も見えない。
ひとまず中を調べてみることにしたが、老朽化した階段が壊れ、小太郎と他二人が分断されてしまう。反対側の階段で合流することを決め、二手に分かれて行動する小太郎達。
だが、智弘と共に二階を進んでいた誠人が、背後から八幡の能力に襲われる。彼の霊力が小太郎の霊力を強化していると、悪霊は気がついていたのだ。
小太郎が駆けつけたときにはもう遅く、別の空間へと閉じ込められる誠人。歯がみする小太郎と智弘の前に、落間と最後の悪霊――中村茜が姿を現した。
誠人が居ない今、小太郎は悪霊の気配をまともに捉えることも出来ず、苦戦を強いられる。そしてついに、中村の放った一撃が、小太郎の心臓を貫くのだった。
21d 「予想外!? 破られた檻!!」
八幡の作り出した空間に閉じ込められた誠人は、そこで小太郎が死ぬ様を見せつけられる。
諦めてここで死ねと迫る八幡に、諦めないと応える誠人。彼は、小太郎の勝利を未だ疑っていなかった。
小太郎の為にも、自分がこんなところで捕まっているわけにはいかない。そう思った瞬間に、誠人に秘められた霊力が爆発し、空間を破った。
八幡の手を逃れ現実世界に戻った誠人は、小太郎の死に絶望する智弘を励まし、二人で悪霊に立ち向かう。
その頃、死んだ筈の小太郎は、見覚えのない場所で目を覚ましていた。
21d 「魂の試練!? 霊界を脱出せよ!!」
見知らぬ場所で気がつき、困惑する小太郎の前に現れたのは、かつての依頼人でもある、遠坂与一と団さぶろうであった。
彼らは実は人間ではなく、この学園に伝わる「旧校舎の怪異」。学園に通う人々の隣人として、密かに根付く日常の怪異だったのだ。
二人は小太郎が確かに死んだこと。その魂をここ――霊界の一部であり、「旧校舎の怪異」の集う場所に引き寄せたのは自分達であることを告げ、彼らを統べる者・影のもとへと小太郎を導く。
旧校舎はそもそも、彼らのような日常的な怪異のたまり場であったが、悪霊の出現により脅かされている。悪霊を追い払ってくれるなら、恩義もある小太郎が現世に戻る手伝いをする、と言う影。
一も二もなく承諾する小太郎。影が開いた現世への道を進み、今、試練へと挑む。
23d 「よみがえれ!! 退魔師・望月小太郎!!」
小太郎に課された試練は、長い長い現世への道を、足を止めずに走り続けることだった。無限とも思える道のりを一人、走る小太郎の耳には、諦めを誘う言葉が飛び込んでくる。
一方地上では誠人と智弘が、落間、中村の二人を相手に戦っていた。霊力の爆発により霊力が増幅された誠人のサポートを受け、善戦を続ける智弘。
しかし、それは火事場の馬鹿力のようなもの。戦いの途中で誠人の霊力は元に戻り、一気に劣勢となってしまう。
二人にトドメを刺そうと近づく中村。小太郎と同じ場所へ送ってやると笑う彼女に、誠人が叫んだ。「コタちゃんはこんなことで死なない!!」――その声は、試練に疲れ果てた小太郎の耳にも届く。
嘲笑する中村が、二人に引導を渡そうとした瞬間。飛来した退魔の札が、その攻撃を弾き返した。
24d 「夜が明ける!? 旧校舎の死闘!!」
振り向いた皆の目に飛び込んできたのは、他の誰でもない、生きた望月小太郎の姿だった。
雪辱戦とばかりに、再び中村と対峙する小太郎と、彼の目となる誠人。中村に加勢しようとした落間は、智弘が足止めする。
ぶつかり合う霊気、一進一退の攻防。全ての退魔の札を犠牲にすることで、中村の渾身の一撃を乗り切った小太郎は、己の霊力を彼女に直に叩き込む。
一方で落間に押され気味の智弘。しかし古橋の機転で、隠れていた千草がカメラのフラッシュを焚いた。その光に落間の目が眩んだ隙を突き、智弘は辛くも勝利を収める。
今日のところは負けを認め、小太郎の前から消える悪霊達。閉ざされた旧校舎の扉は開き、その外では、おとめがゆっくりと目を覚ました。