25d 「訪れた平穏!? もうすぐ夏休み!!」
旧校舎から帰還した小太郎達は、しばし平穏な日々を楽しんだ。幽霊騒ぎも、しばらく起こっていない。
中村は変わらず死んだことになっており、八幡はまるで、始めから存在しなかったかのように姿を消した。落間もまた、あの日からずっと学校を休んでいるらしい。
季節は梅雨を過ぎ、夏休みが近づく。生徒達が休みの予定を立て始める中、小太郎は智弘から相談を持ちかけられた。
智弘は旧校舎の一件から、自分の力不足を痛感したらしい。霊能力者として強くなるために、何か特訓する方法はないものかと、彼は小太郎に問いかける。
それに対し小太郎は、この夏休みに、山で修行でもするかと提案するのだった。
26d 「後輩を導け!? いざ、特訓開始!!」
夏休み。小太郎、誠人、智弘の三人は、近くの山へとやって来ていた。
道すがら、小太郎は智弘に、昔から山には様々な霊が集まると言われていると語る。修行をしつつ、それらの力に触れることで、霊能力を高めるのだ。
キャンプと天体観測にやる気を出す誠人はさておき、山で修行を始める二人。軽い手合わせで霊力を見ていた小太郎だが、ふと、智弘から感じる潜在霊力に比べ、発現する霊力が小さいような違和感を覚える。
それはまるで何かで押さえているような、心のどこかで力を使うことを嫌がっているような、そんな揺らぎでもあった。
小太郎がそれを指摘した瞬間、智弘は激しく動揺し、その日の修行はやむなく中断されてしまう。
27d 「智弘の苦悩!! 心を縛る鎖!!」
翌日、再び修行を開始する小太郎と智弘。しかし昨日のことが気になっているのか、昨日以上に智弘の霊力は不安定になる。
それを見た小太郎は言う。霊能力は、扱う者の精神にも大きく左右される。霊能力者でいるのが辛いと少しでも思うなら、これ以上成長することもないだろう、と。
尊敬する先輩からの厳しい言葉に、智弘は徐々に本心を明かす。それは、「自分では何をしても無駄」という劣等感であった。自分を信じられない気持ちが鎖となり、霊力を発揮出来なかったのだ。
出会ってから今までの虚勢が剥がれて俯く智弘に、小太郎が言葉をかけようとした瞬間、山の空気が一変した。山に住まう悪霊が、二人に狙いを定めたらしい。
それを察した小太郎は、この霊を一人で退魔するよう智弘に言う。
28d 「占い師の誇り!! 真実を見定めろ!!」
現れた霊は、そこまで力のあるものではなかった。かつて戦った狐使いの狐と、さほど変わらない強さだろう。
しかし、精神的に萎縮しきっている智弘は、その程度の相手にも恐怖を覚える。かつてそれと同等か、あるいはそれ以上の相手を一人で倒した過去がありながら。
そんな彼を見た小太郎は、目を背けるな、と叫んだ。過去の失敗からも、そして成功からも、目を逸らしてはならない。「占い師」の目は、常に真実を見る為にあるのだろう、と――
小太郎の声に後押しされるように、智弘は震える足で立ち上がった。占い師の証とも言える水晶玉に悪霊の姿を捉え、それを撃退する。
戦いを終えて安堵する智弘の肩を軽く叩いて、彼を労う小太郎。やれば出来るものだろう、と笑いながら、二人はキャンプへと戻る。そこには、笑顔の誠人と缶詰料理が待っていた。
29d 「邪教徒襲来!? アセンション危機一髪!!」
夏休み明けのある日、小太郎のもとにアセンションが飛び込んでくる。また勝負かと身構える小太郎だったが、今日は違うらしい。
彼女の話によれば、近頃この学園の近辺で、とある新興宗教が勢力を伸ばしている。そこは邪神を信仰する邪教徒の集まりであり、甘い言葉で信者を増やして邪神の生贄にするのだという。
突拍子もない話に、半信半疑の小太郎。だがアセンションは、邪神復活を阻止しようとしているプリモ会が劣勢で、潰されそうであるからと、尚も彼の助力を求める。
と、そこへ件の邪教徒が乱入。アセンションと交戦状態になり、アセンションと親しげに(?)している小太郎をも、敵と見なして攻撃を仕掛けてきた。
そうなっては小太郎も、自分の身を守る以外の道はなく。アセンションと協力し、邪教徒と戦わざるを得ないのだった。
30d 「専門外!! 悪魔払いの方法とは!?」
邪教徒の使役する悪魔は、日本の悪霊とはひと味違った。いつもの退魔の術の効果が薄く、困惑する小太郎。
アセンションの力もあり、ひとまず邪教徒を追い返すことには成功するが、これで完全に邪教徒に敵と見なされてしまう。
悪魔に対抗する方法を探し、アセンションに話を聞く小太郎達。聖水やら十字架やら、悪魔に有効な武器の方は上手く扱えそうにないが、召喚の魔法陣を壊してしまえば良いのではないか、という結論に達する。
邪教の本部に殴り込み、と息巻くアセンションと、あまり乗り気になれない小太郎。
一方その頃、下校中の千草と古橋は、通学路で邪教徒に声をかけられていた。
31d 「意外な再会!? 邪神降臨を阻止せよ!!」
千草と古橋が、邪教の本部に連れて行かれた――その情報を持って小太郎達の前に現れたのは、なんと落間流だった。
かつての敵からの情報を、素直に信じられない小太郎。そんな彼に向かって、自分は悪霊に操られていただけだ、これからは同じ霊能者として共に戦いたい、と言う落間。
落間はいまいち信用しきれないが、本当であれば二人が危ない。小太郎達は、邪教の本部へ向かうことに決める。
邪教の本部では、千草と古橋が他の信者と共に、邪神に洗脳されかかっていた。たが、二人は小太郎と共に霊関係の事件に関わっており、不思議な力に対する耐性が出来ている。
洗脳の効かない二人に業を煮やした邪教徒は、二人を邪神の生贄にすることを決めた。
32d 「絶体絶命!? 絆の呼んだ奇跡!!」
千草と古橋が邪神復活の生贄にされる寸前、駆けつけた小太郎が二人を救い出す。
しかしこちらは多勢に無勢。邪教徒達の攻撃に、小太郎達は少しずつ追い詰められていった。
やがて、疲労困憊したアセンションが膝をつく。自分では敵わないのだろうか、と心の折れかけた彼女を見て、小太郎は咄嗟にこう発破をかけていた。「それでも俺のライバルか」と。
小太郎にライバルと認められた。その事実が、アセンションを再び奮い立たせる。小太郎と力を合わせ、召喚の陣に十字架を突き立てるアセンション。十字架に込められた霊力は、邪悪な魔法陣を吹き飛ばした。
邪神の力さえなくなれば、相手はただの犯罪者である。後は法の力に任せることにして、邪教本部を抜け出す一同。小太郎にお礼を言ってから、アセンションは夕暮れの中へ消えていった。